表面、想定、実質?不動産投資の利回りを解説。
不動産投資は、マンションやアパートなどの不動産を購入し、それを人に貸して家賃収入を得るという投資手法です。毎月安定した家賃収入が得られてリスクが低く、ワンルームタイプのマンション投資は少ない資金で始められることから、サラリーマンが無理なく始められる投資商品として注目を集めています。
昨今、老後の備えや、万が一の際に家族に残すため、不動産投資を始めてみたいという人は増え続けています。投資に成功するためには、良い物件を見つけてうまく経営することが大切です。
良い物件を探す前に、「利回りに関する正しい知識や目安」を覚えておきましょう。それぞれのエリアで期待できる利回りはどのくらいなのかを覚えることで、効率の良い投資物件の剪定が行えるようになります。
3種類の利回りと計算方法
不動産投資における利回りには「表面利回り」「想定利回り」「実質利回り」の3種類があります。
まずはこの違いを理解していなければ、選定する際の数字の意味を勘違いしてしまいます。物件の良し悪しの判断どころではありません。「表面利回り」や「想定利回り」の高さだけで物件を選ぶと失敗のもとになります。
これらの利回りの違いについて、正しく理解していきましょう。
表面利回り(グロス利回り)
表面利回りは、管理費や税金などの不動産投資にかかる経費を含めずに計算した利回りの事です。グロス利回りとも言います。計算方法は最も簡単です。
表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100
例)2,000万円の区分マンションを購入して、年間家賃が100万円なら
100万÷2,000万×100=5 →表面利回り5%
不動産会社の広告に掲載されている利回りは、この表面利回りか想定利回り(後で説明)のいずれかです。経費を考慮しないため数字が高くなり、広告に出しやすく計算がしやすいことが理由でしょう。購入後の実際の利回りはほぼ下回ることになります。
想定利回り
想定利回りは、表面利回りと間違えやすい考え方です。表面利回りと違い「年間家賃収入が想定額」で計算されていることです。
想定利回り=年間家賃収入(想定)÷物件購入価格×100
空室の物件や、売主が住んでいる(家賃収入が無い)物件の場合、その家賃収入は「相場」で考えます。その想定家賃をもとに計算した利回りが、想定利回りです。
想定利回りは不動産会社の物件広告にのみ記載されます。広告を見て「想定」と記載がある場合は「空室」であり、「不動産屋が考えた家賃収入」があった場合の利回りという事を理解してください。想定利回りは「物件をよく見せる」ために現実味のない夢の家賃で計算されている場合があります。
実質利回り
実質利回りは、「不動産投資にかかる経費を含めて計算した利回り」です。年間の家賃収入から、管理費や保険料、税金などを引いた実質的な家賃収入を、物件購入時にかかった諸経費を含めた金額で割ることで算出できます。
実質利回り=(年間家賃収入ー諸経費)÷(物件購入価格+諸費用)×100
例)1,000万円のマンションを購入するのに50万円の経費がかかり、70万円の利益と10万円の経費がかかった場合、
(70万ー10万)÷(1,000万+50万)=5.7% 実質利回り5.7%
実質利回りはご紹介している3種類の利回りの中で、不動産投資の収益を最も正確に表します。実際にかかる費用は物件によって大きく異なる為、表面利回りや想定利回りが同じでも、実質利回りを計算してみると大きく差が出ることがあります。
まとめ
同じ利回りでも内容は全然違ってきます。「表面、想定」利回りはあくまで大体の基準程度だと覚えておきましょう。不動産投資は安定しているとはいえ、知識が無いままに進めるとやはり失敗してしまいます。
後になって、こんなはずではなかった・・・と後悔することが無いように必ず「実質利回り」をしっかり計算して不動産を購入しましょう。